壁から聞こえる音の正体

いとこの友達に、

Nという友達がいます。

 

そのNが家族で引越して、

 

新しく住むことになった家での

出来事です。

 

Nは住み慣れたマンションを離れ、

一軒家に引っ越すことになりました。

 

新築ではないけれど、

 

それなりに住み心地の良さそうな

家だと思いました。

 

二階には二つの部屋があり、

一つはNの部屋、

 

もう一つは洗濯物を取り込む部屋として

使われていました。

 

引越しをして半月ほど経った

ある日の夜。

 

Nは布団に入り、

いつのまにか寝てしまいました。

 

すると、

 

部屋のどこからか、「がり、がり」

という音が聞こえてきました。

 

周りがシーンとしているせいもあって、

その音が妙に大きく感じられます。

 

ねずみの仕業だろうと

その時は思い、

 

そのまま寝てしまいました。

 

そんな出来事が何夜も続き、

 

両親と相談した結果、

ねずみ駆除業者を呼ぶことにしました。

 

しかし、

 

業者に天井を見てもらったのですが、

ねずみは一匹もいなかったそうです。

 

その夜もまた同じように、「がり、がり」

と部屋のどこからか音がします。

 

Nは音の発生場所を探ろうと、

 

壁に耳をくっ付けて、

音の濃い部分を探り当てました。

 

どうやら音は、

部屋の壁の方からしています。

 

いや、正確には

隣の部屋の壁からです。

 

隣の部屋には、洗濯物が

畳んで置いてあるだけで、

 

他には何もないなのになあ、

とNは思いました。

 

次の日、

 

Nは隣の部屋の壁を見てみようと、

行動してみました。

 

壁の前には、

妙に古いタンスが置いてあって、

 

壁を見ることが出来ませんでした。

 

奇妙なことに、Nはこのタンスに

見覚えがありませんでした。

 

母親にタンスのことを尋ねると、

「最初から置いてあった」と言っています。

 

ここで初めて、

Nは妙な不安を感じたそうです。

 

両親と一緒にそのタンスの引き出しを

開けてみようと試みました。

 

タンス自体は壁に打ち付けてあって、

どかせなかったからです。

 

なかなか引き出せない引き出しを、

父親が一つ取り出せました。

 

「なにこれ?」

 

母親が言いました。

 

引き出しには

お札が張ってあり、

 

中が見えないように、

 

厚い紙のようなもので

塞がれてありました。

 

父親はそういうのを信じないタチなので、

そんなモノを見てもまったく動じず、

 

塞いでいる紙を剥がし始めました。

 

Nは怖くて動けなかったそうです。

 

紙を剥がし終わった途端、

父親が大きな声をあげました。

 

引き出しの中には、

人形が入っていました。

 

その顔は歪んでいて、

苦痛に悶えるような顔だったそうです。

 

父親は驚いて引き出しを

蹴飛ばしてしまい、

 

その反動で、

 

髪の毛で隠れていた

白く濁った人形の目が見えました。

 

結局、人形は

お寺で御祓いしてもらい、

 

「がり、がり」という音は

聞こえなくなったそうです。

 

いとこがNの母親に、

 

この話の真意を確かめようと

聞いてみました。

 

母親はその出来事を思い出し、

顔を歪めたそうです。

 

(終)

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