俺の身体をすり抜けた女

仕事帰りに駅から出ると、

雨が降っていました。

 

コンビニで傘を買おうかとも

思ったのですが、

 

走れば10分くらいで家に着くので、

走って帰ることにしました。

 

少し狭い歩道を走っていると、

 

前方から白いワンピースを着た女性が

歩いて来るのが見えました。

 

「このままだとぶつかるな・・・」

 

と思ったので、

端に避けたんです。

 

しかし、

 

女性も同じ方向に避け始めたので、

イラつきつつも逆側に避けました。

 

すると、

 

女性も更に同じ方向に

向かって来ました。

 

「もう、このまま走ってるとぶつかる!」

 

と思ったので、

 

女性をやり過ごそうと考え、

一旦止まった時。

 

急に女性の歩き方が、

千鳥足のようにフラフラし始めました。

 

しかも、

 

俺が止まっているにも関わらず、

俺の方に向かって来るのです。

 

この時のお互いの距離は、

1メートル位だったと思います。

 

女性を見ると、

向こうも傘を差していなくて、

 

濡れた長い黒髪が

顔に貼り付いていて、

 

正直不気味な感じ。

 

顔もなんだか蒼白というか・・・。

 

そういうのもあって、

俺はビビって固まってしまいました。

 

女性は、もう目の前です。

 

「うわ、なんだよ怖えぇ。ぶつかる!」

 

と思ったのですが、

女性は俺の横を通り抜けました。

 

横といっても

女性の顔の位置からして、

 

俺の身体の右半分ほどを

すり抜けたというか・・・。

 

すごく怖くて、

でも、

 

「すり抜けるなんて、

そんな事はありえない」

 

と自分を納得させるために

振り向いて、

 

女性を探しました。

 

が・・・、いないのです。

 

「角でも曲がったか?」

 

とも思ったけれど、

 

一本道だったので

そんな事もありえない・・・。

 

その後は、もう怖くなって

家に帰りました。

 

今のところ何もないのが救いです。

昨日のことだけど・・・。

 

すり抜けた女性もそうだけど、

 

本当に足がすくんで

ガタガタして動けない自分自身にも、

 

怖さを感じました。

 

(終)

スポンサーリンク

あなたにオススメの記事


コメントを残す

CAPTCHA


スポンサーリンク
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2024年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

【特集】過去の年間ランキング

(2022年1月~12月)に投稿した話の中で、閲覧数の多かったものを厳選して『20話』ピックアップ!
【特集】2022年・怖い話ランキング20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
アクセスランキング

このページの先頭へ