初めて金縛りに遭った日のこと
これは、ある雨の日に体験した話です。
中学生になって少し経った梅雨の時期でした。
2階の寝室にある母のベッドで一人で昼寝をしていたら、初めて“金縛りのようなもの”に遭いました。
しばらくして体が動くようになり、声も出るように。
ですが、次第に頭が痛くなり、くらくらして体が重くて動く気もしません。
それらおかしな症状が落ち着いても怖くなったので、奥の部屋にいる兄の元へ行こうとしました。
その時に、ふと窓から外を見ると、傘をさしている女の人が見えました。
私の家は田舎なので、雨が降っていようとなかろうと、歩く人は普段から少ないのに雨の中を外にいるなんて、と思いました。
それに、様子が変だったのです。
まったく動きません。
透明のビニール傘をさしていますが、顔は影や髪に覆われて見えませんでした。
黒髪で長く、ぺっとりと濡れているような感じも。
服は、ほん怖で見るような白のワンピース。
あるあるすぎて笑えるくらいです。
もちろん恐怖で笑いどころではなかったのですが…。
私だけが見えているのかもと思って兄にも見てもらうと、兄にもその女の人が見えて、二人でしばらくの間その気持ち悪さを怖がっていました。
母が帰ってきた時にはもういませんでした。
それから数日後のこと、ふとベランダから同じ場所を見てみると、透明のビニール傘だけがぽつんと置いてありました。
最近では、洗面所などで白い不気味な影を見かけます。
(終)