ダムの中で立っている女

姉が高校生の頃、

 

友達とキャンプに行った

時の話です。

 

そのキャンプ場は、

ダムの近くにありました。

 

まだ携帯が普及していない

時代だったので、

 

電話をするにはそのダムの

傍にある公衆電話まで、

 

キャンプ場から下りて

行かなければいけません。

 

姉が彼氏に電話をするために

公衆電話に行こうとすると、

 

友達のT君も彼女に電話するからと、

一緒に行くことになりました。

 

電話を済ませた後、

ダムの傍に座り、

 

お互いの彼氏彼女について

話しをしていると、

 

ふと、姉の視界に

女の人が映りました。

 

その女の人は腰まで水に浸かり、

顔は暗くてはっきり見えません。

 

が、髪型はセミロング

くらいの長さに、

 

緩くパーマがかかっている

ように見えたらしいです。

 

T「○○ちゃん(姉)

あの女の人見えてる?」

 

「うん、見えるよ。

 

暗いからはっきりとは

見えないけど・・・

 

でもなんかやばくない?」

 

T「そう、どんな感じに見える?」

 

「顔はよく分からないけど、

髪は・・・」

 

T「肩くらいで、ちょっと

パーマがかかってる」

 

「・・・うん」

 

T「大丈夫だよ」

 

姉はT君の言っている

意味が解らず、

 

ちょっとやばいなと思いながらも、

T君と元の会話を続けました。

 

しばらくすると、

 

T「ごめん、話の途中だけど、

 

向こうが俺達が見えてるのに

気付いたみたいだから、

 

そろそろ行こうか」

 

そう言われて、

姉もやっとその女の人が

 

生きてる人ではないことに

気付いたらしいです。

 

その後、

キャンプ場までの帰り道、

 

T「いい?合図したら一気に

キャンプ場まで走って。

 

絶対に振り返らないで。

彼女ついて来てるから」

 

そう言われた瞬間、

姉の恐怖はピークに達し、

 

T君の合図も待たずに

全力で走り出しました。

 

無事にキャンプ場まで

帰り着きましたが、

 

その晩、姉は怖くて

一睡も出来ず、

 

朝、半泣きで帰って来たのを、

私も覚えています。

 

最後に姉がぼそっと、

 

「ダムなんだから水の中で

立てるわけないんよね」

 

と言ってました。

 

あと、T君は元々

霊感が強いらしくて、

 

T君と一緒にいると、周りの人も

見えやすくなってしまうらしいです。

 

姉の友達の間では、

そう珍しい話でもなかったみたいです。

 

姉は二度と、T君と

二人きりになるのはごめんだ、

 

と言っていました。

 

(終)

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