この話を聞いてしまったら
これは、
私の母の友人に起こった
本当の話です。
「今日で最後か。
それにしても、なんで
こんな暑いのに、
布団に包まって寝なきゃ
いけないんだ・・・」
こんなことを言いながら
寝ているこの人物を、
仮に吉岡としましょう。
なぜ彼がこんなことを
しなければいけないのか。
それにはこんな理由が
あったからなのです。
一週間前のことです。
川原(仮名)と佐々木(仮名)
という二人の友達が、
彼のマンションに遊びに
やって来ました。
学校の話などで
盛り上がった頃、
川原が突然、
「怖い話を教えてやるよ」
と言ったのでした。
ちょうど夏の盛りだったので、
「涼しくなるし、いいね!」
などと言いながら、
川原の話が始まりました。
あるところに、
老夫婦が住んでいた。
その老夫婦のお婆さんは
足が大変悪く、
ほぼ寝たきりの状態だった。
夫がほとんどの身の回りの
世話をしていた。
そんなある日、
夫は用があると言って
外出した。
ところが、
夫は何時まで経っても
帰って来ない。
待ちわびた妻は、
思い切って夫の外出先に
電話をすることにした。
それが間違いの元となった。
足が悪かったせいもあって、
妻は手すりに掴まりながら
階段を下りて、
下に置いてある電話へと
向かおうとしたのだが・・・。
階段から足を踏み外し、
転げ落ちてしまった。
仕事を済ませた夫が
家に帰って来ると、
そこには見るも無残な
妻の姿があった。
夫は急いで救急車を
呼んだのだが、
足の病気に加え、
何時間も放置されていた
ことも重なってか、
妻は死んでしまった。
「俺の話は、とりあえず
これで終わりだ」
「それで、その後、
夫はどうなったんだ?」
と佐々木が聞くのだが、
川原は、
「さぁ~ね、
俺には分からない」
と言うばかり。
吉岡も、
「どうしてだよ、
全然怖くないぞ?!
しかも、とりあえずって
どういう意味だよ!」
と聞くと、
「いいか・・・
この話しを聞いたら
少なくとも一週間は、
布団から足を出して
寝てはいけないんだ。
もしルールを破ったら、
とんでもない災難が
降りかかるからな」
しかし、どうしても
信じられない吉岡は、
一週間後にこの近くの
喫茶店で会うことにしよう、
と約束した。
そして、
一週間が経った朝、
吉岡は自分の部屋のドアを
叩く音で目が覚めた。
そこに居たのは、
川原だった。
「どうしたんだ?」
と聞くと川原は、
「佐々木が死んだんだ・・・」
と言い出した。
「まさか?」
「そのまさかだよ・・・」
話を聞くと、
佐々木は一週間、
布団から足を出して
寝ていたそうだ。
さらに二人を驚かせたのは、
一週間前に学校の校舎を
バックに撮った写真だった。
そう・・・
佐々木の後ろには、
見ず知らずの老婆がこっちを
見ながら嘲笑っていたのだ・・・。
あなたもこの話を読んでしまったら、
ご用心した方がよろしいですよ。
念のために・・・。
(終)
最後に書くな、馬鹿