深夜のタクシーで女性が告げた行き先には

夜道

 

深夜2時頃にタクシーを使ったんだが、

その運転手のおっさんに聞いた話。

 

俺の前に乗せた客(30代OL風)が、

かなり変だったそうだ。

 

俺と同じく駅前のタクシー乗り場で

乗って来たんだけど、

 

行き先が地元では有名な

心霊スポットの『○○の滝』。

 

説明が難しいので

まずは滝の方まで行って・・・

 

とかではなく、

あくまでその滝が目的地。

 

この深夜の空いている道ですら、

40分はかかる。

 

・・・というか、

 

この深夜に「滝」に何の用が?

小雨も降ってるぞ?

 

ヤバいと思った運転手のおっさんは、

 

「そこより手前にある国道沿いの

『○○の滝入口』って看板までなら・・・」

 

という条件で乗せた。

 

おっさんの不安とは裏腹に、

道中の車内では、

 

その女性客は普通に会話もするし、

笑顔もみせた。

 

だけど、「何しに行くの?」とは、

結局聞けなかったらしい・・・

 

なんだかんだで目的の入り口まで

あと少しというところで、

 

おっさんはビビる。

 

いきなり、道端にお婆さんが

突っ立っていたという。

 

建物もバス停も街灯すらない、

こんな峠道に・・・

 

速度を落とし、

お婆さんの横を通り過ぎようとすると、

 

「あ、ここでいいです」

 

と女性客。

 

ビビりながらもお釣りを渡し、

 

女性に降りてもらって

ドアを閉めようとしたその時、

 

お婆ちゃんが降りた女性に一言・・・

 

「おかえり」

 

運転手のおっさんはその場でUターンして、

一切後ろを見ずに帰って来たそうだ。

 

(終)

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