その女性を乗せたタクシーが向かった先は
(千原ジュニアが語った話より)
タクシー運転手の話。
深夜2時頃に神戸を走っていると、一人の女性が手を上げていた。
しかしその場所は、夜中に人なんかが絶対に立っているよな場所ではないところで・・・。
運転手は気味悪く思いながらも、その女性を乗せた。
これは絶対に幽霊だ
女性に目的地を聞くと、えらい山奥へ行ってくれと言う。
運転手は何か嫌なものを感じるも、目的地へと向かう。
そして車を走らせながら、“これは絶対に幽霊だろ・・・”と思っていた。
こんな夜中に、しかも女一人が山奥へ行けなんて、どう考えてもおかしい。
どうせ走っている途中にバックミラーを見ると女性は居なくなっていて、座っていたシート部分がべちゃべちゃに濡れているというオチがすぐ頭に浮かぶ。
しばらくした頃、タクシーは山道に突入した。
もうナビには何も映らない。
どんどん山の奥に入って行く。
道中ちらちらとバックミラーを見ながら、そのうち居なくなるんでしょ?と思う。
運転手は怖くて仕方ない。
(・・・まだ居るな)
(・・・・・・まだ居るな)
(もうそろそろ居ないだろう・・・ん?まだ居るなぁ)
そう思いながらタクシーを走らせていた。
次第に道も狭くなり、かなり険しい林道になっていく。
そして、車両通行止めの看板が見えたので、ぱっと後部座席に振り返った。
すると、女性は居なくなっていた。
座席のシートを触ってみたが、どうやら濡れてはいないようだ。
(おかしいな・・・どこに行ったんやろ?)
運転手は女性を探していると、前方にぶらんと揺れている物体に目が留まった。
(何やろ・・・あれ・・・)
次の瞬間、運転手の耳元で「見つけてくれてありがとう」という声がした。
後に分かったが、その山奥の目的地は、その女性が首を吊って死んだ場所だったそうだ。
(終)