死人の顔をした女性につきまとわれている

林の中の道

 

俺は一昨日の晩、

一人で会社に残って残業をしていた。

 

別に珍しい事ではないのだが、

あれは多分22時過ぎだったと思う。

 

俺は新旧2台のPCを使っているのだが、

 

古い方のPCは電源を落とし、

もう一つの方のPCで仕事をしていた。

 

すると、

 

消したはずの方のPCモニターに、

何かが映っているのに気付いた。

 

確認してみると、

それは知らない女性だった。

 

明らかに『死人の顔』をしている。

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死人の顔をした女性の目的は一体・・・

驚いた俺は、

思わず席を立った。

 

モニターを見ない様に目を逸らした。

 

しかし、逸らした先のガラス窓にも

同じ女性が俺を凝視している。

 

完全に言葉を失い、

目線を外す事しか考えなかった時、

 

会社の電話が鳴った。

 

相手は取引先の担当者だった。

 

人と少しでも話をしたら気が大きくなったのか、

自分の周りを見回した。

 

もちろん電話をしながらだ。

 

やはりモニターも電源が落ちたままだったし、

窓越しにも何も映っていない。

 

疲れ過ぎかな?と自分に言い聞かせ、

仕事は残っていたが早々に帰る事にした。

 

電車に乗って帰る途中、

電車の窓に先程の女性の顔がまた浮かんだ。

 

思わず硬直したが、

またスーと消えた。

 

そして自宅までの帰り道を、

いつも通り歩いていた。

 

すると、迷ってしまった。

 

10年以上も同じ道を通っているのに・・・

 

違う駅で降りた事は考えられない。

 

なぜなら、

使っている駅は終着なのだから。

 

それに、普段通り駅前のコンビニで

同じ様に買い物もしている。

 

さらには、

曲がったりするような道でもないのだ。

 

・・・なのに迷った。

 

携帯電話を見るも、

電源がまったく入らない。

 

そのうち、

自宅近辺ではない事に気が付く。

 

とりあえず来た道を戻ってみる事にした。

 

なのに、

どれだけ戻っても元に戻れない。

 

しばらく歩いていると、

木が鬱蒼としている場所に来てしまった。

 

その中を歩いた。

 

時間がどのくらい経ったのかが

分からないほど歩いたが、

 

道らしい道に出ない。

 

疲れて木にもたれていると、

木の影からヌーと女性が顔を出した。

 

次の瞬間、女性はこちらを向き、

 

にやっと笑っては口から血の様な

赤いものを垂らし始めた。

 

それを見た俺は半狂乱になりながら、

また歩きだした。

 

その後、辺りが明るくなり始め、

朝になってようやく道路に出た。

 

どうやら山の中に居た様で、

町が見えたので下ってみた。

 

その町に着くと、さらに驚いた。

 

場所は伏せるが、

とんでもない場所に居た。

 

例えるなら、

 

自分は東京に居たはずだったのに、

そこは鹿児島だったとか。

 

気がおかしくなりそうだったが、

冷静にもう一度考え直してみた。

 

手にはコンビニの袋を握っているので、

自宅の側には帰っているはずだ・・・

 

全く合点がいかないが、

 

とりあえず会社には間に合わないので、

病気を理由に休む事にした。

 

会社に電話を入れた時、

上司からこう言われた。

 

「お前、昨日は鼻血でも出したのか?

 

いやな、ゴミ箱に入ってた書類に

血がべっとり付いてたんでな」

 

鼻血など出していないが、

おかしい奴と思われるのも困るので、

 

「あっ、そうなんです・・・」

 

と、適当に返事をした。

 

そして昨晩、

女性は現れなかった。

 

ただ、俺の部屋の壁をコンコンと

何度も叩く音はしたが・・・

 

ちなみに自宅は15階建てマンションの

15階の角部屋で、

 

決して外から叩く事など出来ない場所である。

 

今日も休暇を取って自宅にいるが、

さっきから後ろに気配を感じている。

 

(終)

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