霊に憑かれている友人からの相談
俺は数枚の写真を見せられていた。
霊感があるというだけで、霊的な相談を受けている。
しかし俺はどうすることも出来ない。
そして友人にはどう伝えたらいいんだろうか・・・。
写真に写っている者に、友人は面識が全く無いようだ。
その写真には、友人と2歳になる友人の弟が写っていた。
弟を寝かしつけているところを友人の母が撮影したようだ。
ただそれだけの写真。
その中に、写るはずのない人が写っていた。
友人は言葉を発しなかった。
俺「俺にどうしろと?」
友「分からない。どうしたらいい?」
俺「とりあえず、すぐ御祓いした方がいい」
友「俺、憑かれてるのか?」
俺「分からない」
・・・としか言えなかった。
話は2日前に戻る。
何者かが追いかけてきた
俺はバイト帰りで自転車を漕いでいた。
ふと遠くの方で人影が見えた。
こっちに向かって歩いているようだ。
徐々に近づいてくる。
よく見ると20代前半の女性のようだ。
スタイルも良く、俺好みだ。
そうこうしているうちにすれ違った。
顔も悪くない。
しかし声をかける根性は無い。
・・・・・・
また人影があった。
もう夜中の1時だというのに。
ぼーっとしていたら、いつのまにかすれ違った。
・・・ん?
なにか違和感を感じた。
さっきの女の人?
また今すれ違った?
自転車を止め、振り返った。
誰も居ない。
いや、誰か居る!
電柱の影からさっきの女がこっちを見ている。
なんかやばいな・・・。
急いで自転車を進めることにした。
自転車のスピードはそこそこ出ていた。
何気に振り返る。
誰も居ない。
いや、物凄い速さで転々と移動しているものがある。
電柱の後ろ、自販機の陰、交差点の陰、同じスピードで瞬間移動するかのように追いかけてくる。
しまった!人間じゃない!!
思わず友人に電話した。
俺「はぁはぁ、おぅ、遅くにすまん。今から暇か?行っていいか?」
友「はぁ?なんやねん。別に構わんけどさぁ」
俺「分かった。もう着くから」
数分後、後ろを見ることなく友人の家に着いた。
俺「はぁはぁ、すまない。はぁはぁ・・・」
友「何かあったのか?」
俺「いや、特には無いが、ちょっと暇だったんで・・・」
友「相変わらず変な奴やな」
窓から外を見た。
そこには静寂と暗闇の中に街灯の明かりだけが輝いていた。
以上が2日前の出来事。そして・・・
友「俺、御祓いに行ってくるよ」
俺「あぁ、そうするといい。俺は何もしてやれん」
友「出来たら一緒に来てくれないか?俺、どこに居てもこの写真の奴が見えるんだ。頼むよ・・・。怖くて風呂も入れないんだぞ。湯船にまで映るんだよ・・・」
俺「ごめん、俺は行けないわ」
友「なんでだよ!友達だろ?お前しかいないんだよ。この女から助けてくれ」
俺「ごめん。本当に出来ない。今日は帰るわ・・・」
友「頼むよ・・・」
そう言って、俺は急いで帰った。
白状なのかも知れない。
俺にどうにか出来たのかも知れないのに。
でも、あれは無理だったんだ。
だって今、お前にしがみ付いて離れようとしなかったから。
そしてごめん、俺が連れて来てしまって・・・。
(終)