どうしても幽霊が見たいと言う友人
俺の友人に、「どうしても幽霊が見たい」と言う奴がいる。
その友人の名前を仮に石黒とする。
石黒は色々と降霊術をやったり、心霊スポットを巡ったりしているが、その類のモノは全く見えないそうだ。
ちなみに、俺には霊感はないのだが、俺の弟は霊感がある。
石黒には日頃から世話になっていることもあり、偶然を装って弟と会わせてみた。
凄い事になっていた
石黒を家に呼んだ時、弟はコタツでまったりしていたので、石黒を家にあげて弟のいる部屋に案内した。
すると、石黒は「どうも、はじめまして」と挨拶するが、弟は石黒を見つめたまま固まっている。
そして数秒後、弟はそのまま靴も履かずに家を飛び出してしまった。
俺は石黒と一緒にポカーンとしていたが、「大丈夫なの?」と声をかけられて我に返り、弟を追いかけたが見つからず、連絡もつかず。
その後、実家から連絡があり、弟が部屋に引き篭もっていると。
数日して引き篭もり状態は解消され、弟に話を聞いてみると、石黒が凄い事になっていたらしい。
石黒の背中からは無数の手のようなものが生えていたり、横ではいくつかの生首でお手玉をしている女の子がいたりと。
さらに、首にはおっさんの顔をした蛇のようなものが巻き付いていたという。
それで、「何なんだ、この人は?」と思って見ていたら、そのおっさん蛇と目が合ったそうだ。
同時に弟はビクッとなると、そのおっさん蛇が「なんじゃいな!小僧!」と物凄い高い声で言ったらしい。
弟が言うには、目玉のオヤジみたいな声だったと。
見た目と声のギャップで噴出しそうになったが、「ボトボトボト」という音が急に聞こえて音がした方を見ると、生首でお手玉をしていた女の子がその生首を落として弟を睨みつけていたらしい。
そんな事があり、怖くなって逃げたそうだ。
弟いわく、石黒に憑いているモノ達は石黒を守っているようなのだが、周りにはかなり悪影響を与えるという。
その悪影響というのは、石黒が解決できる範囲の災いが起こるようだ。
それが何なのかは全く分からないらしいが。
後日談
弟が引き篭もっていた理由が分かった。
引き篭もったその日から数日間、部屋の外からはわらべ歌のようなものと一緒に「ボトボトボト」という音が聞こえていたらしい。
「絶対にあの女の子だ!」と思った弟は、布団を被って震えていたらしいのだが、急に音が止んだので布団の中から顔を覗かせて部屋を見渡すと、カーテンと窓の間から女の子がこちらを見ていたそうだ。
その後、また布団を被ってずっと震えていたという。
ちなみに、石黒にこの話をすると、「そいつらは除霊したら見えるのかなぁ?でも、いるものを除霊なんてもったいないな」と本気で悩んでいたが、その数分後には「女の子って事は幼女だよな?幼女もいいな、フフ」という感じで気持ち悪くニヤついていた。
(終)