夜道で後ろからついてくる犬
俺が高校生の頃の話をします。
テスト期間中に友達の家で
勉強をしていたんですが、
途中から生き抜きも兼ねて
ゲームをやり始めました。
気が付くと、
時計は11時を回っていたので、
俺はそろそろ帰るよと言って
友達の家を出ました。
あまり遅く帰ると親がうるさいので、
普段は通らない暗い道を通って
帰ることにしました。
その道は街灯もあまり無く、
地名に「塚」がついているので、
縁起を担いでいる私の両親は
絶対に通らない道でした。
暗い道でしたが家もあり、
友達も多く住んでいるので、
大人は変に縁起を担ぐなあと
思いながら帰っていました。
自転車に乗りながら帰っていると、
どこからか小型犬が現れて
自転車の後を付いてきます。
私はすでに犬を飼っているので、
もしこのままこの犬に
付いて来られては迷惑だと思い、
自転車のスピードを上げました。
それでも犬は付いて来るので、
立ちこぎで振り切ろうとしますが
まだ付いてきます。
時速20km位のスピードで
振り切ろうとしたんですが、
それでも付いて来るので、
犬好きの私は小型犬なのに
頑張るなと思いました。
その時ふと前を見ると、
目の前はいつの間にか交差点で
車が横切っていました。
私は急ブレーキをかけてハンドルを切ったので、
道路横の畑に突っ込みました。
転びはしたんですが、
何とか車との衝突を避ける事が
出来たんで安心していました。
すると、私に付いてきた犬が、
私をじっと見て「チッ」と舌打ちをして
街灯の無い方に消えていきました。
あと数秒、車に気付くのが遅れていたらと、
消えていった犬の事を考えると、
ゾッとしました。
(終)