子供が見上げてる小窓には
ある知り合いの保母さんから聞いた話。
仕事中に子供を預ける施設で、
一人の子供が
誰もいない空中を見上げて、
喋っていた。
「ママ、ママ、」と言っている。
その子の母親が迎えに来る
時間は過ぎていた。
突然、電話が鳴り出し、
電話を取りにいこうとしたが、
その子が窓に向かって
走りだしたので制止した。
しばらくして、
電話に出ていた別の職員さんに
廊下から呼ばれて行ってみると、
小声で
「大変、○○ちゃん(その子)の
お母さんが交通事故で・・・」
保母さんは思わず、
その部屋に残された子供を抱き締めた。
「○○ちゃん、おかあさんがね・・・」
ふと、子供が見上げてる
小窓を見つめると、
保母さんは「ひゃっ!」、
声にならない悲鳴をあげた。
2階にある、その窓に、
ベタベタといくつもの手のひらの跡が
付いていたそうである。
(終)
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