人格が崩壊する問いかけ
ある大学生Aが、
友人Bと2人で実験を
することになった。
実験の内容は、
一日数回、鏡に写った
自分に向かって、
「お前は誰だ?」
と問いかけるというもの。
毎日続けているうちに、
数ヶ月で自分が何者なのか、
分からなくなってしまうらしい。
この噂を本当かどうか
調べるために、
彼らは毎日、
鏡の前で自分に問いかけた。
「お前は誰だ?」と。
数日が過ぎ、
Aは自分が自分でないような、
奇妙な感覚を覚えた。
これ以上、
実験を続けるとまずいと思い、
Bに実験を止めるよう
忠告した。
さらに数日。
Bが大学に来なくなった。
不審に思ったAが
Bの部屋を訪れると、
Bはすでに自分が誰なのか、
分からなくなってしまっていた。
実験を始めて数週間も
経っていない。
なぜこんなに早く実験の効果が
出てしまったのだろうか。
ふと、AがBの部屋を見渡すと、
その理由が分かった。
Bの部屋の鏡は、
三面鏡だったのだ。
検証
この話は「ゲシュタルト崩壊」
を題材にしている。
ゲシュタルト崩壊とは、
ひとつの物を見続けた結果、
全体性を失って、
個別のみを認識する
ようになること。
例えば、「あ」という文字を
長時間見続けていると、
文字としてではなく、
意味を持たない線の集合体、
または物体に見えてくる、
といった感覚のこと。
今回の鏡の話だが、
実験したことはないが、
うつ状態などでこれを実際に
やってしまうと、
人格が崩壊する
可能性があるため、
非常に危険である。
さらに、
自分の顔を
ビデオカメラに映し、
それを見ながらやると
効果が高いとか、
「お前は誰だ」
「私は○○だ」
など、
自問自答すると効果が高い
などと言われている。
いくら興味本位でも、
決して実践してはいけないほど
危険な行為である。
(終)