山ってやっぱりスゴい力を持っている
山って、やっぱりスゴい力を持っていると思う。
それに神様もいると思う。
これは、そう思うようになったきっかけの話。
数年前、母が重い病気で入院していた。
そんな時、なぜか私は無性に山へ行きたくなり、御岳山に。
それまで山と言えば、保育園の時に登った高尾山くらいだった。
そうして8月の夏山に、一人で行ってきた。
そして長い階段の先にある神社でお参りした時に、涙が勝手に出てきて、なんだか色々と覚悟した。
御岳山を下りてから母のいる病室に戻ってみると、「すごく空気が変わった」と喜んでくれた。
山の空気を持ち帰ったらしく、「すごく気持ちいい」と言っていた。
私自身は汗臭いだけだったのに。
それ以来、一人で山へ行くようになったが、空気を持ち帰れたのは2回だけだった。
もっともっと母の元に山の空気を運びたかった。
でも御岳山へ行くと、必ず一人になれる時間があった。
不思議なのだが、さっきまで後ろにいた人がいないとか、いつの間にか周りに誰もいなくなっている。
そんな時は自分の周りに風がまとわりついていて、思い切り泣ける。
山に慰めてもらえていたのかな。
母の3回忌を迎え、ようやく気持ちの整理がつけそうになってきた。
(終)