本格的な山登りは常に命懸けである
これは怪談などではなく、現実に今も起きている話。
以前、何かのCMに出ていた、山の掃除人ことアルピニストの方がテレビで話していた内容の一部を紹介する。
※アルピニスト
「アルプス登山者」が語源。登山家の中でも特に高くて困難を伴う山に挑む、高度な技術を持つスペシャリストのこと。
登山家ならば死の覚悟は当然
エベレストなどの本格的な登山になると、道中には沢山の危険がある。
滑落、雪崩、クレバスと様々あるが、滑落では下まで落ちても稀に助かる人もいるそうな。※クレバスとは、氷河や雪渓などに形成された深い割れ目
登山途中に時々だが、そういう人が助けを求めて手を振っている姿が、遥か下の方に見えることがあるという。
ところが、そこは険しい谷底だったり、ヘリコプターはおろか、人も降りていけないような場所。
ならば、どうするか?
遭難者がそこにいるのが見えている。
必死に助けを求めている。
でも、どうしようもない。
答えは「見なかったことにする」のだそう。
必死に手を振っていても、大声で叫んでいても、気づかなかったことにするという。
その人を助けられないから。
人が生きていて、その姿も見えるのに、見殺しにするしかない。
必死になって手を振っていようが、叫んでいようが、もうそれは『死人』とされる。
そう言われると、もの凄く怖くなった。
あとがき
山は、自力で行って、自力で帰る場所。
携行品は全て、自分の命を守るためだけの物。
登山家ならば、死の覚悟は当然に求められる。
エベレストでは、谷底どころか道端にへたり込んでいる人であっても、誰も救助できない。
そして、遺体はそのまま冷凍保存されて永久に残される。
遺体の鮮やかな服や靴の色が貴重な道標となって、すぐ側を通る登山家達の脳裏に焼きつく。
とあるサイトには、某山に残る一つひとつの御遺体の写真と、氏名や死亡時の状況の解説がある。
ツラすぎるので検索はお勧めしない。
(終)