じいちゃんは天気を操っていたかもしれない
これは俺がまだ小さい頃に、田舎のじいちゃんから聞いた『風神さまと雷神さま』にまつわる話。
晴れている時に風神さまを呼ぶと風が吹いて、雷神さまを呼ぶと曇る。
曇っている時に風神さまを呼ぶと晴れて、雷神さまを呼ぶと雨になる。
雨が降っている時に風神さまを呼ぶと曇って、雷神さまを呼ぶと嵐になる。
にわかに信じられなくて、じいちゃんに雷神さまを呼んでと試してもらったことがあった。
すると、じいちゃんが呪文のようなお経を唱えた直後に空が曇り、突然にわか雨になった。
それからは幼稚園や小学校の行事の前日は必ずじいちゃんに電話をして、当日は雨が降らない様にお願いしていた。
そのおかげか、全ての行事で雨が降らずに済んだ。
これだけなら天気予報や偶然で説明がつくと思われかもしれないが、一番不思議だったのは、俺が田舎のじいちゃんの家へ行く日は必ず晴れていたことだ。
そして、田舎へ行って初めて雨だった日は、じいちゃんの通夜の日だったこと。
倅の前でゴニョゴニョと、じいちゃんの唱えていた呪文っぽいものをマネして風神さまを呼ぼうとしてみたが、効果はなかった。
じいちゃんは本当に天気を操れたのか?
今でも不思議でしょうがない。
(終)