金縛り中に酔った父が帰宅。そして・・・
これは、俺のオカンが中学生だった時の話。
オカンは生まれつき、金縛りに遭いやすい体質だったらしい。
そんなある日の夜、1階にある自分の部屋で寝ていたら、金縛りに遭ったそうな。
目を開けると、青白い顔をした中年のオッサンがハァハァと息を荒くしながら、のしかかるように覆い被さっていた。
オカンが「これはヤバイ!」と思った瞬間、「うらあああああーっ!!帰ったぞおっ!」という大声と共に、泥酔したオカンの父ちゃん、即ち俺の爺ちゃんがベロンベロンに酔って帰宅した。
そして、爺ちゃんがオカンの部屋の襖をバーンと開けて入ってきたと思ったら、幽霊に豪快につまづいて大転倒した。
爺ちゃんは「あーっ!」と叫びながら幽霊を巻き込んでゴロゴロと転がり、ガシャーン!と窓を突き破って庭へダイブした。
オカンの部屋には爺ちゃんが土産に買ってきた助六寿司がばら撒かれ、爺ちゃんは婆ちゃんにしこたま叱られたそうな。
気付くといつの間にか幽霊は居なくなっていて、それ以降はオカンも金縛りに遭う回数も少なくなったとか。
オカン曰く、転がり方が尋常ではなかったそうで、庭で卒倒している爺ちゃんを見て、幽霊が現れた事よりも爺ちゃんが死んでないかが心配だったという。
(終)