小児喘息を患うと霊感が強くなる?
僕は小学3年生の頃に小児喘息を発症して、市が運営する海岸沿い療養施設に入寮していた。
朝は5時45分に起床すると、6時にグラウンド集合して、ラジオ体操と5kmのジョギングに乾布摩擦。
7時に朝食、7時45分に部屋の掃除、8時15分に集団登校・・・。
と、まるで軍隊みたいな施設だった。
そして小児喘息を患ったことのある人なら分かると思うんだけど、どういうわけか霊感の強い人が多いんだ。
アレ、見える?
発作が起きている時って生死の狭間みたいな苦しみがあるんだけど、何度か発作をやっているうちに平常時でも”何か”が見えるようになる。
入寮するとすぐに古株に呼び出され、朝に集合する浜から見える岬を指差されて「アレ、見える?」と聞かれる。
すると、大体5人に3人ぐらいが「うん、いるね」と答える。
岬の突端には、白い着物を着た背の高い爺さんがいるんだ。
爺さんは岬の突端に立って、じーっと沖を眺めているだけ。
“見える子”は、寮室グループとは別のグループにも入ることになる。
「町のどこそこにはヤバいのがいるから近付くな」とか、「なんとか神社は光のシャワーがあるから週に一度は行った方がいい」などの情報交換をしていた。
小児喘息が治まると療養施設を退寮し、中学生ぐらいになると何も見えなくなる。
(終)