別の空間に居たのかも知れない
小学1年生の時の体験です。
私の家は学校から1.5キロほど離れていました。
その頃は横浜に住んでいて、家の近所には別の学校があったのですが、決められていた区分の境目に家があった為、その学校より遠くにある学校に通うことに。
1.5キロの距離は、小学1年生にとってはなかなか遠かった記憶があります。
4時間の間に何が起きていたのか
不思議な事が起きたのは、夏休みに入る前の最後の登校日の事です。
元々、家が遠くて帰るのが大変だったのですが、さらに休み前はお道具箱を持って帰宅しなくてはなりませんでした。
なので、文具が入ったお道具箱を持ちながらだと、かなり負担になりました。
その日、まず不思議だったのが、誰とも一緒に帰らなかったことです。
それこそ学校では近所の子たちと一緒に帰るように言われていました。
朧気な記憶ですが、いつも一緒だった子たちが学校の裏にあるヘチマの水をあげるとかの理由で行ってしまい、私は付いて行かずに門の辺りで待っていました。
が、いくら待っても友人は来ませんし、夏休みに入って早く帰りたかったので、私は一人で帰ることにしました。
次に不思議だったのが、車はおろか誰とも人に会わなかったのです。
基本的に、安全のために人通りが多い道が登下校のルートになっていましたので、この日以外に誰にも会わないことはありませんでした。
強い日差しの中、お道具箱の入った手提げを持って帰るのが本当につらく、お道具箱を道に置いてバス停のベンチで休憩したのです。
すると、少し目を離した隙に、お道具箱が消えて無くなっていました。
私はラッキーと思ったくらいで、あまり不思議に思わず軽い足取りで家に帰りました。
家に着くと、泣いている親に叱られました。
親の泣いている姿を初めて見て、私は動揺しました。
そして、消えたはずのお道具箱がリビングに置いてあったのです。
聞くところによると、あまりに帰りが遅い私を心配し、学校に電話をしたがもう帰ったことを聞かされて、またいつも一緒に帰っている友人の親に電話をしたら、その子たちはもう帰宅していると言われ、私を探したそうです。
そして、学校の途中のバス停で私の手提げのみを見つけ、家に持ち帰ったとの事。
もちろん私は帰宅途中に親には会いませんでした。
警察に捜索を依頼し、少し経った頃に私が平然と帰宅したようです。
時計を見ると学校が12時頃に終わったにも関わらず、いつのまにか16時になっていました。
感覚的に4時間も帰宅に掛かったとは思えませんでしたし、待っても来ない友人、誰にも人に会わなかった事、手提げの件を考えても、もしかしたら別の空間に居たように感じます。
(終)