自分の死が近いことを知っていた祖父
2年前の話。
旦那の祖母が病気だった為に、祖父がずっと面倒を見ていた。
私たち夫婦と同居だったけれど、祖父は病気ひとつ知らない健康な人だった。
ある時、義母と叔母(祖父の娘)の前で突然祖父が号泣し、「自分が死んだらばあさんをよろしくな。頼むな」と懇願したらしい。
その一週間後、祖父は心臓発作でぽっくり死んでしまった。
毎日畑を耕すような、あんなに健康だった人が・・・。
私は孫の嫁だけど、大好きな優しい祖父だった。
ちなみに、祖母も後を追うように数ヶ月後に亡くなった。
この出来事を怖いとは思わないけれど、なにか不思議で・・・。
祖父は自分の死が近いことを知っていたのかな?
そして、結婚して60年経っても、そんな風に相手を心配してあげられる祖父はやっぱり素晴らしい人だなあ、と思った。
あとがき
そういうことって分かるのかな?
信じていないわけではないけれど、他にそんな話を聞くと、祖父も何か感じるものがあったのかもしれない。
ちょうどその時はお盆で、私達はみんな実家に帰っていたから最後の食事も一緒に出来なかった。
分かっていたら残ったのに・・・。
祖父はとてもお酒が好きな人で、いつもは適量を夜に飲む人だったけれど、その日はお盆ということもあり、朝酒を一杯飲んでから逝ってしまったそう。
とても人柄のいい、誰からも好かれる祖父だったから、最後に神様は御褒美をくれたんだと思う。
でも、自分の死期を知っていて、そうやって気後れせずにいる人って凄いですね。
私の父方の母(祖母)は死ぬ日の夜、どうしても一人になりたくなかったらしく、「帰らないでくれ。一人にしないで」と頼んだそう。
しかし、結局みんな仕事があったり、小さな子供がいたりして、祖母を病院に残して帰ったけれど、その日の夜に死んでしまった。
祖母はその日、とてつもない寂しさに襲われたのかな・・・。
(終)