ずっと一人暮らしに憧れていた兄だったのに

部屋

 

私には4つ上の兄がいます。

 

兄は高校の時からずっと一人暮らしに憧れていて、就職の内定が決まると、すぐに部屋を借りて実家から出て行きました。

 

ところが3ヵ月ほど経った頃、兄は何故か頻繁に実家に帰って来るようになりました。

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リビングでは寝れない

仕事が終わった夜、実家に帰ってきて夕飯を食べ、そのまま寝てからまた仕事に行くという日が週に4日はありました。

 

母は「やっぱり家がいいのね」と喜んでいましたが、私は不審に思いました。

 

あんなに独り立ちしたいんだと言っていた兄なのに・・・と。

 

私は心配して「やっぱり一人だと寂しいんじゃないの?」と兄に聞くと、「寂しくはないよ。ここ(実家)に帰らない日はいつも友達が泊まりに来てるから」と言うのです。

 

私は、やっぱり家に人が居ないと寂しいんだなぁと思いました。

 

それから数日後、夜に兄から電話がありました。

 

「今仕事終わったんだけど、今日俺一人だから泊まりに来ない?飯まだだから一緒に食おうよ」と言うのです。

 

さすがに、どうしちゃったんだろう?仕事がキツすぎて弱ってんのかな?飯ぐらい一人で食えよ!と思いましたが、疲れているなら愚痴ぐらい聞いてあげようかなと思って兄の家に行きました。

 

二人で軽くお酒を飲みながらテレビを見て、0時過ぎ頃にそろそろ寝ようかとなり布団を敷こうとしたのですが、兄は何故かキッチンに布団を敷こうとしました。

 

私は「別に兄妹なんだから気を遣わなくてもいいよ」と言ったのですが、兄は頑なに「リビングでは寝れない」と言って聞きません。

 

私が「何でよ?」としつこく聞くと、「そっちだとたまに顔を覗き込まれるんだよ」と兄は言いました。

 

結局、その日は二人仲良くキッチンに布団を並べて寝ました。(笑)

 

それからすぐに兄は彼女と住むことになり、自分の家は引き払ってしまいました。

 

それ以来、私は一人暮らしに憧れなくなりました。

 

(終)

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