そこで遊ぶことを固く禁じられた森林
これは、アメリカで聞いた話。
手掘りの古い鉱坑がいくつも残っている森林があるのだという。
子供たちはその近くで遊ぶことを固く禁じられていた。
なぜなら、『時々廃坑から何かが出てきて、子供をさらって穴の中へ連れ去るから』なのだという。
何が出てきているのかは、直に目撃した者がいないので分らない。
気が付いた時には、もう子供の悲鳴だけが穴の奥へ遠ざかっていくところで、一体何が子供をさらっているのかは不明のままだ。
しかし消えた子供は、何日か後にひょっこりと戻ってくるという。
それも、さらわれてから帰ってくるまでの記憶を綺麗さっぱりと失くして。
そして奇妙なことに、決して怒ることがなくなっているらしい。
まるで去勢でもされたかのように、どんな悪ガキも大人しく良い子になっていた。
子供が帰ってきたことは嬉しいが、どことなく不気味でもある。
そんな話が増えてきた為、そこで遊ぶことが禁じられたそうだ。
現在は森林の中に鉄条網が設置されており、近づくことは出来ないのだという。
(終)
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