踏切で電車の通過を待っている時に
これは、ある日の夜に体験した不気味な話。
自転車で田舎の方へ行って来たのだが、道中に踏切があり、そこで電車の通過待ちになった。
しかし、しばらく経っても電車が来なく、周りを確認してみると、青いライトが2本左右に建っているのに気づいた。
俺は左側の青いライトの方で待機していたが、右側の青いライトの方にはチェック柄のシャツを着た男性がいた。
その男性は青いライトを見上げながら、何かブツブツと独り言を呟いていた。
俺は早く線路を渡りたくてイライラしながら何度も左右を確認していたが、3回目くらいの確認の時に、右側の青いライトの方にいた男性がいなくなっていた。
おかしいな?と思いながらも気にせず電車の通過を待っていると、やっと右側から電車が走ってきた。
電車がもう少しで目の前を通過するので、前を向いてやっと渡れると思った時、右側のライトの方にいた男性が俺のすぐ左側に立っているのが傍目に見えた。
そして男性は俺を見ながら、「カンカンカンカンカンカンカンカンカン・・・」と呟き、電車が通り過ぎた瞬間に全てが消えた。
俺は一目散に線路を渡り、渡り切ってから後ろを見たが誰もいなかった。
(終)