居なくなった私の体は何処に行った?
これは、私が高校生の時に体験した話。
私のクラスは音楽科で男子が3名しか居なく、雰囲気は女子校のような感じで、トイレや移動教室などは決まったグループで移動というのがお決まりだった。
私はその日の5限目から猛烈な眠気に襲われ、机に突っ伏して寝てしまった。
目を覚ますと・・・
クラスでの席は、真ん中の列の前から4番目くらい。
ほぼ教室の真ん中あたり。
普通は注意されたり自分でハッと起きたりするんだけれど、その日は物凄く寝たらしく、起きた時には教室に誰も居なかった。
ギョッとして教室の外に出ようとすると、なんと鍵がかけられていた。(当時は盗難防止のために、誰も教室に居なくなると担任が鍵をかけるようになっていた)
黒板を見ると、『7限目は学年指導で体育館』と書かれている。
仲の良い友達やグループに置いていかれたのと、担任に鍵までかけれたのとで、惨めで恥ずかしかったのを覚えている。
私は内側の窓ガラスの鍵を開けて急いで体育館へ行き、列の一番後ろに座った。
すると、担任が怒った顔で「どこへ行ってた!?」と言う。
ありのままを説明するんだけれど、教室には私は居なかったと。
クラスの点検をし、誰も居ないのを確認してから鍵をかけたと。
私は仲良しのグループの子たちにも気まずい感じを隠して、「置いていかないでよ~笑」とおどけると、教室に私が居なかったからトイレまで探しに行ったとのこと。
担任の怒っている様子とグループの子たちの様子を見ると、どうや私は本当に居なかったらしい。
私の中では、5時限目から7時限目の前半までぶっ通しで教室の真ん中で机に突っ伏して寝続けていたわけで、それを説明しても担任は「それは有り得ない」と言う。
グループの子たちはそもそも私が6限目に寝ている姿も記憶になく、5限目後の休み時間と6限目後の休み時間の二度もトイレへ探しに行ったらしい。
当時は怖さと訳の分からなさでそれ以上の追及は出来なかったけれど、グループの友達も私もそのことを今でも覚えていて話したりする。
あの時に居なくなっていた私の体は何処に行ってたんだろう?
(終)