かくれんぼ中のかけ声をからかうつもりが
ここ最近、夕方になると隣の団地の子供らが『かくれんぼ』をしている。
数を数える声や、「もう~いい~かい?」、「もう~いい~よ」という声もよく聞こえる。
これは、一昨日の夕方にトイレに入った時のこと。
窓の方から「ご~、ろ~く」と数を数える女の子の、とても小さな声が聞こえてきた。
俺はからかうつもりで、もちろん向こうには絶対に聞こえないような小さな声で、「な~な、は~ち、きゅ~う、じゅ~う、も~いい~かい?」と言ってみた。
その時点では、鬼役だった女の子の声は聞こえず。
おそらく、こちらが数を呟いている間に数え終わったのだろう。
しかし、トイレから出ようとした時、耳元で「・・・もういいよ」と誰かに囁かれた。
かくれんぼの鬼役だったのは、たぶん中学年くらいの女の子。
だが、耳元で囁かれた声はもっと小さい女の子の声。
確かに、小さい子も混じって遊んでいたのだが、そういう時は保護者の一人が見守っているようなので、団地を抜け出して、俺の家のトイレの窓の下まで来るのは無理だと思う。
それに、付近には砂利が敷いてあるので人が歩けば音でわかる。
一体、あの囁き声は何だったのだろうか。
余談だが、霊の声は耳元で聞こえると言われることもある。
もしかしてこの団地には、かくれんぼを続けている子供の霊がいて、早く見つけてもらいたくて辺りをうろちょろしているのかもしれない。
(終)