石に魂を込める方法とその効果
これは、石じじいの話です。
なんでも、『石に魂を込める方法』というのがあるのだとか。
そんな不思議な話をじじいは人から聞いたそうで。
まず、深い山に分け入って綺麗な小石を求めます。
清浄な地の石でないとダメだとも。
ただその石は、どんな色でも形でも良いらしいです。
それを持ち帰り、綺麗に洗って布に包み、手に持って“念を込める”のだそうです。
石は決して握らず手に持って、その石の中に自分が入っていく、自分がその石の内部の匂いを嗅ぐような気持ちを強く持つのだそうです。
そうしていると、その手に持っている石の重さを自分で調整できるようになるのだとか。
重くなれと念じると、手に重さを感じるように。(こっくりさんみたいですが)
そういうことができるようになると、その石から離れても、家の障子や家具、柱、樹木の枝などの他の物体を、自分の意思で振動させたり揺らせることができるようになるそうです。
こう聞くと、石というものは念力を集中させる訓練のための道具にすぎないと思うのですが、道具としての石を清浄の地で自分で見つけなければなりません。
じじいにそれを教えてくれた行者のような人は「自分もできる」とおっしゃっていたそうですが、やって見せてくれたことはなかったそうです。※行者(ぎょうじゃ)=修行者
同じようなことは、紀州に行った時にも聞いたことがあったとか。
じじいは、「そがいなことができるようなって何の役に立つんかのう。ありゃ自分で自分にまじないをかけるようなもんやのう」と話を締め括っていました。
(終)