連続する謎めいた出会い
先日のある夜、私は遅くまで外で飲んでいた。
24時を過ぎた頃、そろそろ帰ろうと思い、タクシー乗り場まで歩いて行った。
家のある場所を指定し、車が走り出すのを確認すると、ついウトウトと眠ってしまった。
その後、運転手さんに起こされて車から降りると、全く知らない風景が広がっていた。
少し酔っていたので気づくのが遅れてしまったようで、タクシーも去って行ってしまった。
仕方なく、大きな道路の灯りが見える方向に、トボトボと歩き出した。
よく見ると、側には海が広がっており、何処かの工場地帯のようだった。
5分ほど歩くと、左側にかなり広い空き地があり、その奥に誰かが立っていた。
白い服を着た女性が地面を指差した格好で、うなだれたまま微動だにせずに立っている。
もともと変なモノが見えたりする体質なので、ここは放っておくのが一番であろうと思い、無視して通り過ぎることに。
広い道路に出てから標識で方向を確認すると、家から25km程も離れた所にいるのだとわかったが、歩いてはさすがに無理なので、再びタクシーを捕まえる必要があった。
そうして家の方向に向かって歩き出した。
20分ほど歩くと、片側2車線の道路の反対側に、さっきの女性が立っていた。
今度は顔をこちらに向けており、その顔は無表情で、まるで遺体のようだった。
当然、今回も無視する。
さらに30分ほど歩いて行くと、また同じシチュエーションで女性が立っていた。
それを繰り返すこと数回、ようやくタクシーを捕まえることができた。
帰る道々、運転手さんにさっきあった出来事を話すと、“同様の話でもちきりの地区”だった。
(終)