廃校での肝試し中に突然・・・
これは、夏休みに岩手県にある私の爺さんの家へ、友達3人を連れて遊びに行った時の話です。
近くの森には、十数年前に『廃校』になった小学校があります。
それを知った友達の一人が、「廃校って言ったらやっぱり肝試しじゃね?」と言いだして、その流れで本当に肝試しをすることになり、その日の真夜中にその廃校へ私も含めた4人で行きました。
ただ、男同士がくっ付いて廃校の中を歩むのも情けないので、「折角だから本当の度胸試しだ!」ということになり、結局は1人ずつ中へ入って行くことに。
ルールは、屋上まで行って下に向かって手を振って帰ってくる、と決めました。
まず1人目が懐中電灯を持って出発し、20分ほどで帰ってきました。
2人目は、それよりも少し時間がかかって25分ほど。
3人目は私の番。
帰ってきた友達に、「あの中、スゲーヤバいぞ!」と多少からかわれながら校舎に入りました。
私はオカルトが全くダメというほどではないですが、そこそこビビリな性分から、さっさと終わらせようと思っていました。
しかし、2階に上がる階段の真ん中あたりで、持っていた懐中電灯の明かりが突然消えたのです。
それに、なぜか何をしても再び点灯しません。
もしこのまま途中で戻ってしまったら、外で待つ友達らに「壊れたからとか理由つけて怖いからやめる気なんだろ~」と笑われたくなかったので、暗いままそのまま進むことにしました。
なぜなら、校舎の中は想像していたよりも意外と綺麗だったので、行けるかな?と…。
今思えば、そこでやめておけばよかったと後悔しています。
真っ暗な校舎の中を、壁伝いに手探りで3階へ上がった時でした。
ふと教室が並ぶ廊下の方をちらっと覗いてみると、15メートルほど先の方に、高学年と思しき男の子がポツンと向こう向きで立っていました。
あまりにも驚いて思わず後ずさったのですが、何かに足をとられて結構な勢いで転んでしまい、そのまま後頭部を床に強く打ち付けて、そのまま気を失ってしまったのです。
その後、どのくらい時間が経過したのかはわかりませんが、目を覚まし時にさっき見たものを思い出し、さすがに怖くなった私は、走ってみんなの所に戻りました。
ぜぇぜぇと呼吸を荒げながら戻ると、笑われながらこんなことを言われました。
「屋上までは結構早かったのに、帰ってくるまではかなり遅かったな」と。
そもそも、屋上までは行っていません。
結局、あの出来事は何だったのかはわかりません。
そしてあれ以来、田舎には帰っていません。
(終)