ねぇ、誰か1人足りなくない?
大学に入って少し過ぎた頃、サークルのメンバーでキャンプに行った。
私ら1年は女が7人いて、仲良くなったばかりだったので一緒に行動していた。
夜にバーベキューをして、女7人でコテージに戻り、ひと息ついていた時だった。
最初は他愛もない話をしていたけれど、突然みんなが黙り、部屋は一瞬シーンと静まった。
そしてお互いに顔を見合わせたり、部屋を見回したり。
すると市川さんが、「ねぇ、誰か1人足りなくない?」と呟いた。※仮名
そしたら、他の6人全員が「私も今それ言おうと思っていたのよ」、「私も」、「私も」と口を揃えて言い始めた。
もちろん私も部屋に入った時から、何か妙な違和感を感じていた。
誰か1人いなくなっているような…。
でも、その部屋には7人全員ちゃんといる。
「みんないるよねえ?」
「うん、いるよね」
実は同級には男の子が1人いたけれど、他に同じ年の男の子がいなかったため、バーベキュー中や遊んでいる時は、その男の子も私たちと一緒に行動していた。
なので、コテージに戻った時はその男の子がいないから、”誰かいない”という感じがするのではないか?
無理矢理そう結論づけて、この妙な空気を払拭しようとしたけれど、渡辺さんが「違うよ。いないのは女の子だよ」と言った。※仮名
その渡辺さんの言葉に、部屋は凍りついた。
そう、全員が同じことを思っていた。
『女の子が1人足りない』
結局、気持ち悪い、怖いという理由で、「もうその話はやめようよ。気のせいだよ」となり、その後は呑んだり騒いだりしてその話には誰も触れなかった。
全員が同時に感じた妙な違和感。
アレは一体なんだったのか、今でも不思議なまま。
この話には後日談のようなものがある。
サークルで合宿や旅行に行くと、必ず”女の子の気配”がするのだとか。
これは、私は事情があって参加できなかった時のこと。
ゲームをしていると、背後に女の子の気配がするので、誰かいるのかなと振り返っても誰もいない。
何故だかはわからないけれど、女の子だと感じるというか、わかってしまうというか。
旅行先で泊まった旅館では、家鳴りのような音や、端の部屋なのにも関わらず壁をドンドンと叩く音、窓の外に何かすごく重たい物が落ちたようなドスン!という音がしたので、窓を開けて覗いてみても何もない、などもあった。
この時に撮ったという写真には、いくつものオーブが写っていた。
この旅館での話は、その旅館に霊がいたのではないかとも思ったけれど…。
不思議な体験はいくつかしているけれど、多人数が同時に体験したのはコテージでの件が初めてだった。
(終)