火葬場に勤めていた時に
火葬場は昔、
石炭を入れて人力で炊いており、
私も長年そこに勤めていました。
給料が安いので、
同僚は火葬前に遺体の金歯や指輪を
釜にもぐって盗んでいたくらいです。
ある時に一人の少年が、
たった一人の肉親である母親を亡くして
気の毒に思いつつも、
いつもより時間をかけて釜を炊きました。
火葬場の仕事を引退後、
私は彼にお母さんのお墓がもう一つ
あることを教えてあげました。
(終)
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解説
少年の母親を焼く時に、
盗難していた同僚も一緒に焼いた。
いつもより時間がかかったのは、
二人分の遺体を焼いていた為。
遺体が焼きあがった後には
二人分の骨が残っているので、
大まかに一人分だけを遺族に返し、
残ったもう一人分の骨は別の墓に入れた。
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