霊が見える男たち
Aは否定しているが、
実は霊が見えることを
俺は知っている。
この前、
一緒に駅前を歩いていたら、
反対側の踏切の前に、
老婆を背負ってる男がいた。
じっと俺たちを見ている。
踏切を渡ろうとした時、
Aがぽつりとこう言った。
「無視しろ。こいつは悪霊だ」
老婆を背負ってる男は頷いた。
(終)
解説
Aは霊が見え、
「俺」は悪霊である。
踏切の前の老婆を背負ってる男は
生身の人間で、
この男も霊が見える。
Aは男に対して、
Aの傍にいる「俺(悪霊)」を
無視しろと忠告した。
背負われている老婆が、
幽霊なのか生身の人間なのか
という疑問もあるが、
その後の展開を導くためと考えると、
幽霊と考える方が妥当。
しかし、表現的には、
生身の人間と考える方が自然。
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