顔馴染みのペットショップ店長の声

職場の先輩から聞いた話。

 

先輩(Tさん)が高校生の頃、

近所にあった顔馴染みのペットショップに、

当時飼っていた犬の大好物の

ドッグフードを買いに行ったときのこと。

 

Tさんは、

向かう直前にペットショップに電話をし、

そのドッグフードが

まだ店頭にあるかを確かめたうえで、

向かったという。

 

さて、そこに着いてみると、

なんとシャッターが閉まっている。

 

臨時休業か?

と思ったがさっきの電話では、

「じゃ、Tくん待ってるからね」と、

おなじみの店長の声を聞いたばかり。

 

おかしいと思いながら

Tさんがシャッターの前に立っていると、

たまたまジョギングしていた

おじさんが声をかけてきたそうだ。

 

「どうしたの?」と聞かれ、

「いや、さっきここに電話して、

今着いたんですけど、

なぜかシャッターが閉まってるんですよ」

 

するとおじさんは、

 

「あれ?ここ10日以上

シャッター閉まったままだよ?

店長さんは電話出たの?

人のいる様子は

なかったんだけどなぁ」

 

と言われ、

Tさんはえっ?となった。

 

だが、よく考えてみると、

本当に人のいる気配がない。

 

色んな動物の鳴き声がするはずの

ペットショップから、

音が全く聞こえてこないのだ。

 

ただならぬものを感じた二人は、

警察に通報した。

 

すぐにパトカーと救急車が到着し、

裏口の鍵をこじ開けて

中に入っていったそうだ。

 

すると、なんと中には、

鈍器のようなもので頭を割られ

息絶ええている店長と、

胸に包丁が突き立てられた

奥さんと娘の遺体が。

 

さらに、

それ以降世話されなかった

動物たちの死体が

ものすごい異臭を放ち、

まさに地獄絵図だったらしい。

 

検死の結果、

死後2週間ほど経っており、

おそらく強盗に襲われ

殺されたのではないかということらしい。

 

それを警察から聞かされて、

激しく鬱になったそうだ。

 

最後にTさんは、

独り言のようにつぶやいた。

 

「もしかしたら店長は、

俺に早く見つけて欲しくて

『待ってるからね』

って言ったのかな・・・」と。

 

残念ながら、

犯人は未だに捕まっていないそうだ。

 

(終)

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