街中の音が突然消えた時

電車

 

これは、霊に呼ばれてしまったと感じた体験談。

 

高校の夏休みの時、いとこの家へ遊びに行こうとしていた。

 

確か、お盆前だったか。

 

めちゃくちゃ暑くて、景色が揺れて見えるほどだった。

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手招きをする女の子

セミの鳴き声も、工事の音も、電車の音も、「うるさいなあ」と思いながら歩いていた。

 

それに、さすがは夏休み中だ。

 

子供がはしゃぐ声が遠くから響いてくる。

 

・・・が、しばらく歩いてマンションが立ち並ぶ区域まで来た時に、「あれ?」と気づいた。

 

音が消えている。

 

セミの鳴き声も、工事の音も、電車の音も、子供の声も。

 

「うわっ、ヤバイ。日射病?」と思ったが、身体は正常のように感じた。

 

しかし、強い日差しで陽炎のように景色が揺れている。

 

その時、呆然としたまま立ち尽くす俺の横を、赤いスカートを履いた女の子が走り抜けていった。

 

ちょっと走ったら女の子は立ち止まって振り返る。

 

そして手招きをする。

 

俺は、とりあえず付いて行ってみようと思った。

 

しばらく女の子に付いて歩いていると、突然肩をつかまれた。

 

顔を向けると、紺色の着物を着た若い男の人が立っていた。

 

次の瞬間、全ての音が帰ってきた。

 

迫る電車の音に、俺は慌てて後ろに下がる。

 

いつの間にか俺は線路際に立っていたのだ。

 

もう少しで電車に飛び込んでいたのかもしれない。

 

着物姿の若い男の人も、赤いスカートを履いた女の子もいなかった。

 

いとこに聞いてみたら、「昔、電車にはねられて亡くなった女の子がいた」とのこと。

 

どうやら“呼ばれてしまった”らしい。

 

それに、霊感のある友人が言っていたことを思い出した。

 

「お前の後ろの人、若いな」と。

 

あの時は後ろの人って何だよ?と思ったが、守護霊というやつなんだろうか。

 

本当に不思議な体験だった。

 

(終)

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