日当3万円「ため池の埋め立て作業」にて
これは数年前の学生時代に、バイトで廃材運搬の助手をしていた時の話。
日当1万円だったこともあり、声がかかれば授業をサボってでも行っていたのだが、その日は「県外だけど3万出すよ」とのことで、即答で了承した。
ため池を整地にするとかで、そこで出た残土を別の山にポイする仕事内容だったが、重機の免許も無い俺の仕事は交通整理だと言われ、「これで3万円はラッキー」という感じだった。
全くもって不思議な仕事だった
現場に着くと、埋め立て業者と施主か地主だかが揉めていて、まだ水を抜いていない有様。
なにより、重機が入る道すら出来ていなくて、うちらのダンプもギリギリ入れるかどうかだった為、離れた駐車場で待機することになった。
結局、「金は出すから明日来てくれ」とのことで、その日はそのまま帰ることに。
次の日、会社に行ってみると、「2t車でいいとのことだから君一人でいいか?」と聞かれた。
また、残土ではなく、ちょっとした物を運んで欲しいとのこと。
全ては現場で指示されるらしい。
ただ、2日で6万円も貰えることはそうないので、何も考えずに了承し、昨日の現場へと向かった。
現場に着くと何故か神主がいて、「祭りか?」と思える感じのお祓いのようなことをしていた。
半日が過ぎ、ようやくお呼びがかかってトラックを持って行くと、古い神輿みたいな物と、お墓にある細長い木の板(卒塔婆)が大量にあった。
その後、荷を載せたトラックと俺自身も神主にお祓いされ、助手席に神主を乗せてとある神社へと運んだ。
神社で荷を降ろすと、さっさと帰れと言わんばかりに追い出され、俺はそのまま帰宅の途へついた。
道中、「全くもって不思議な仕事だったなあ」と思いながら高速に乗り、気がつくと病院のベッドの上で身体を固定されていた。
聞けば、どうやら事故をしたらしいのだが、その記憶は全く無い。
そして今、そのバイト先の会社も無くなってしまっている。
(終 / ※以下、類似する別の話に続く~)
類似する別の話
これは3年前、山に囲まれた大きめの沼の埋め立てを請け負った時の話。
そこは人工沼で、辺りも人工湿地帯だった。
まずは水抜きをしないと重機が入らないということで、バイパスを作って水を抜いた。
すると、沼の中央に祠があったのも気持ちが悪かったのだが、水抜きが終わる頃に、よくお墓にある戒名などが書いてある木の板(卒塔婆)が底から多数立っていた。
唖然としていたら、いつの間にか神主が大勢おり、お祓いのようなことを始めた。
何も聞いていなかったし、工事を始められないから揉めたのだが、「とりあえず今日は帰ってくれ」の一点張り。
仕方なく撤収したが、工事が再開されたのは3日後だった。
埋め立てはすんなり終わったが、その後に神社へ連れて行かれ、全員がお祓いを受けた。
帰りには御札と御守りを渡された上に、「何かあったらすぐに知らせて欲しい」とまで言う。
殺伐とした雰囲気になったが、周囲は年寄り達が囲んでずっと睨んでいる。
結局、現場監督が「俺が話つけるから」ということでみんな帰って行ったのだが、その現場監督はそれから音信不通となっている。
何が起きていたのか分からないだけに、未だに怖くて仕方がない。
※参考
調べたところ、栃木県の温泉地「鷲宿」、もしくは「喜連川宿」かと思われます。また、鷲宿の溜め池は「かっちゃんぼっち」と呼ばれているそうです。(管理人より)
(終)