「やまびこ」の怖さを忠告しておく

山彦

 

これは登山など、山へ行った時に誰もが一度は経験があるだろう『やまびこ』にまつわる怖い話。

 

山で自殺する人というのは結構多い。

 

大抵の人は山へ行くと、「ヤッホーーー!」と相手がいないのに呼びかける。

 

当然、本人はやまびこを聞こうとしているのだが、自殺や事故など、山で命を落としてしまった人というのはなかなかその亡骸を発見されないので、孤独がどんどんと膨らんでいく。

 

そして、亡骸に気づいてもらえない孤独の寂しさから、それがどんどん憎しみに変わっていく。

 

そんな場所でもある山で、「ヤッホーーー!」と生きている相手もいないのに、多くの人は虚空に大声で呼びかけている。

 

そうすると、孤独と憎しみに満ちて狂っている霊たちはどう思うだろうか。

 

「あ、私を呼んでくれた。仲間。嬉しい。こっちの世界に引き込みたい。この山から出したくない」

 

そうなるのだという。

 

なので登山の帰り際になると、その呼びかけた者を引き込もうとしたり、その者に取り憑いたりする。

 

そんな霊が一体や二体ではないので、運が悪いとどうなるかはお察しあれ。

 

(終)

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