一人暮らしなのに子供がうるさいとの苦情が
これは、3年ほど前の体験話。
当時の俺は、マンションの1階で一人暮らしをしていた。
ある日、管理会社の担当者から電話がかかってきて、「夜中に子供がうるさいと苦情がきたんですが・・・。あの、お一人で住んでいらっしゃいますよね?結婚して子供ができたとか、そういうことはないですよね?」と聞かれた。
当然、子供なんかいないので、「そもそも彼女もいないですよ。何なら今日にでも見に来ますか?」と答えると、「ですよねぇ~」と言われた。
ところが、しばらくした頃に、またその担当者から電話がかかってきた。
「やっぱり、毎日夜中2時過ぎに子供が騒ぐ声がするって苦情がきたんですが・・・」と言う。
なので俺は、「それ、本当にウチですか?上(3階)じゃないんですか?」と答えたが、「いえ、下の階からと言われたので・・・」と言う。
ちなみに、このマンションは3階建てで、各階に2部屋しかない。
101号室は独居老人、102号室は俺。
201号室は空き家、202号室は髭を生やしたガタイのいい男(苦情の主)。
301号室は母子家庭で子供が1人、302号室は夫婦2人暮らし。
こんな感じなので、子供の声がするというのなら、301号室の住民しか考えられない。
でも、よくよく話を聞くと、301号室の子供は既に小学5年生で、夜中に聞こえるのは赤ちゃんのような泣き声と、ドスンドスンと走り回る音らしい。
そうなると、301号室もありえないとなる。
一体、苦情の主には何が聞こえているのか?
不思議に思って一度夜中まで起きていたのだが、2時を過ぎても3時を過ぎても子供の声なんて聞こえてこない。
もしかして上の階の住人の幻聴か何かなのか?と思い、面倒になりそうだから引っ越しも考え始めた。
そして、ちょうど年末が近かったので実家に戻った時、両親と祖母の前でこの話をしてみたところ、ばあちゃんが「そりゃ、赤ちゃんを引きずってるんだよ。どっかの女に始末させたんやろうねぇ」と言った。
ばあちゃんの言ったことが事実かどうかはわからないが、本当に子供の幽霊なのか、それとも子供を始末させた良心の呵責なのか、どちらでもないかもしれないが、できれば後者であってほしい。
※呵責(かしゃく)
責め苦しめること。しかり責めること。
(終)