もしあの世があれば･･･

これは、妻から聞いた話。

今から３０年くらい前のこと。

妻は短大時代に友人と、よく「あの世ってあるのかな？」と語っていたという。

そして、「もしあの世があれば、先に逝った方が合図を送ろう」と約束をした。

合図は足の裏をこそばせる、という軽い約束。

その後、お互い就職し、結婚し、子育てに追われて疎遠になり･･･。

ある晩、寝ている妻が悲鳴をあげて起き上がった。

何事か聞いてみたら、足の裏をこそばされ、驚いて起きたらしい。

それから数日が過ぎた頃、妻が学生時代の軽い約束を思い出し、気になってその友人に数年ぶりに連絡を取ってみた。

すると、半年前に亡くなっていた。

「あの子も死んだ時は約束なんて忘れてたけど、半年して思い出したんかなぁ」と妻。

（終）