顔にびっしりのカエルの群れ
これは私が中学生だった頃、恩師より聞いた不思議な話。
ある時のこと、何かの調査で恩師は数人と連れ立ち、奥羽山脈の中でキャンプを張った。
一夜明けてみると、隣で寝ていた仲間が「なんだか顔がムズムズする」と言い出した。
蟻にでもたかられたかと見ると、確かに仲間の顔に何やらびっしりとくっ付いている。
よくよく見れば、『とても小さいカエルの群れ』が顔にたかっていた。
どれくらい小さいカエルだったかというと、「こりゃ珍しい! 新種かもしれないから持って帰ろう」となり、弁当に付いている魚型の醤油入れに何匹も詰め込んだ、というくらいだから押して知るべし。
しかし残念ながら、持って帰ることは出来なかった。
醤油入れに詰め込んで持ってきたはずのカエルは、麓で見てみれば全て溶けて無くなってしまっていた。
それも、骨まできれいに無くなっていたそうな。
すでに恩師も鬼籍に入って久しいので、今となっては詳細を確かめようもない。
(終)
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