お盆の間だけ怪現象が止む家

お盆

 

これは、お盆の時期にまつわる我が家での話。

 

うちは元農家だったが、駅前の開発が進んだり、交通の便が良くなって都会へ通勤する人が住み始めてからは、分譲住宅やマンションが建ち始めて、今では畑もめっきり減った。

 

そんな中途半端な田舎に家がある。

 

うちも祖父母の代に土地の一部を売り払い、今では道路になったり家が建ったりしている。

 

そういう場所だから、若い人でもきちんとお盆のしきたりを行い、墓参りもする。

 

もちろん元々住み着いている家系の人たちだけ、だけど。

 

うちはちょっとした『幽霊屋敷』のようで、7人家族中の6人、つまりは俺以外が出掛けている時に、上の階から足音がしたり、玄関が開いて靴を脱ぐ気配があって見に行くと誰もいなかったり、そんなことがよくある。

 

ただ家族に聞いてみると、どうやら俺だけではなく全員が似たような体験は日常茶飯事のようだった。

 

実害はなく、あってもスチールラックにしっかり掛かっているカゴが落ちたり、自室の扉をノックされて開けると誰もいなかったり、そのようなイタズラレベルだが。

 

これら怪奇な現象は、実はお盆の期間だけピタリと止む。

 

何故なのか考えてみた。

 

あくまで仮説だが、うちに帰ってきた祖霊が追っ払っているのか、それともいつもいる何かが本来の家に帰っているのか。

 

なんとなく“後者”だと思っている。

 

なぜなら、もし追っ払っているとすれば、お盆が明けた後にイタズラ程度で済んでいた怪現象が悪化しそうな気がするからだ。

 

憂さ晴らし感覚で。

 

話を締め括るが、俺はこう思う。

 

もし家族やご先祖に浮かばれない亡くなり方をした人がいる家では、きちんと盆棚を作って迎えてあげれば、そのうちにちゃんと成仏できるかと。

 

お盆は一年のうちで唯一、帰るべき家に帰れる期間だから。

 

どこを彷徨っていたとしても、きっと帰って来れて、自分の家族と一緒にいられる。

 

それはとても大切な時間になると思う。

 

ただ、最後に一言だけ…。

 

寝ている人を片っ端から起こすイタズラだけはやめて下さい。

 

睡眠障害かと思って医者に相談したことにも医療費はかかっているんですよ。

 

(終)

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One Response to “お盆の間だけ怪現象が止む家”

  1. 匿名 より:

    地獄の振動が伝わって、あちこちが揺れてるんじゃねえの?
    お盆には地獄も休業に入るらしいし…

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