奇妙な話が後を絶たない更地
うちの実家はど田舎。
近所の古寺の近くにある更地は、大昔に土葬の墓場だったとか。
言い伝えでは、新しい死人が出る度に埋葬した死体の頭を食べに来る化け物がいて、村人はたいそう悩まされていたらしい。
今はただの空き地で荒れ放題になっているのだが、奇妙な話が後を絶たない。
火の玉がゆらゆら揺れていたとか、血だらけの鎧武者が立っていたとか、目玉が落ちていて棒で突いたら消えてしまったとか・・・。
とにかく色々バリエーションに富んだ体験談がある。
かくいう俺も、真夜中に信号待ちをしていたら、大きな白い布のようなものがフワフワと浮いているのを見たことがある。
その時は怖くなってすぐ逃げた。
俺の友達らはその空き地でタバコを吸っていたら、二人の携帯電話に同時に非通知の電話がかかってきて、出ると女の呻き声と笑い声が重なって聴こえてきたそうだ。
かかってきた電話は二人とも全く同じ内容だった。
化け物の言い伝えが関係していたとして、もうそこに遺体が埋葬されることはないのに一体何をしているのだろうか。
しかも、携帯電話を介するなんて、化け物さんも文明に対応しているのかな?
(終)