従姉妹の部屋へ泊まりに行ったら
大学受験のため東京に来た時、
一人暮しをしている従姉妹の部屋へ
泊めてもらうことにしました。
部屋は、交通量の激しい
道路に面したマンションの3階。
ちょうど窓の下辺りになる場所で
道路工事をしています。
交通量が少なくなる夜になると、
工事が始まっていたそうです。
従姉妹はバリバリの女子大生を
満喫しており、
帰って来るのは夜中。
友達は先にベッドに入っていました。
ウトウトしかけた頃、
人の気配を感じて目を開けると・・・
部屋の隅に、
交通整理の光る棒を持って、
黄色いヘルメットを被った
警備員男性が立っていたそうです。
驚いて起き上がると、
男性と目が合ってしまいました。
それに気づいた男性は、
光る棒を振回しながら無表情で
友達に近づいて来たそうです。
クルクル回る赤い光が、
目の前に来た時・・・。
必死の思いで布団を頭から被り
チビリそうになっていると、
従姉妹が帰って来て、
ドアを開けたと同時に
「今、エライもん見ちゃったよ。
下で工事やってるじゃない?
片側通行で交通整理している
警備員さんが、
ランプ振り回して止めようとしたのに、
暴走車が突っ込んで来て、
警備員さんを跳ねたんだって。
ちょうど救急車に乗せられている
ところを見ちゃった!」
興奮して話していたそうです。
跳ねられた警備員さんの生死は
分からなかったそうですが。
亡くなった瞬間に魂が抜けて、
亡くなったことに気づかず、
最後の仕事を続けていたのか・・・。
生きてはいるものの、
事故の瞬間のショックで
強い念みたいなものが発生し、
残像となって現われたのか・・・。
いずれにしても、
現われた警備員さんは、
肉体を持った「人」では
無かったようです。
(終)