廃れた寮へ肝試しに行ったが

専門学生の頃、

 

当時よく一緒にいた4人で、

廃れた寮へ肝試しに行った。

 

N、T、K、そして俺。

 

廃寮まで車を飛ばし、

 

近くのコンビニで

店員の兄ちゃんに、

 

「今から廃寮行くんすよ」

 

なんて話すと、

 

店員「あそこはマジ

やばいっすよ。

 

行かんほうがいいっすよ。

 

集団自殺とかあったん

ですから」

 

と答える。

 

すでに行く気満々だった

俺らは、

 

その言葉に耳を

傾ける事もなく、

 

買い物を済ませて

廃寮へ向かった。

 

廃寮へ着くと、

夜の暗闇と静寂の中、

 

ただただ無機質な建物が

月明かりに照らされて、

 

その姿を晒していた。

 

意外と綺麗な建物だ。

 

庭も広い。

 

N「じゃ、行くぞ」

 

次々と、閉鎖されてる

門を飛び越え、

 

中へ入っていった。

 

恥ずかしい話、

 

俺は門を飛び越える

ことが出来ずに、

 

一人で待つ事になった。

 

小さくなっていく三人の背中を

しばらく見ていると、

 

奥で用務員らしき

おじさんが、

 

木を倒しては起こすという

動作を繰り返している。

 

それはまるで、

機械的な動きだった。

 

「やべぇ、

あいつら怒られるな・・・」

 

なんて思ってる

俺の心配をよそに、

 

三人はおじさんの横を通り、

寮の中へと入っていった。

 

「あれ?」

 

なんて思いつつ、

 

煙草を吸いながら

三人の帰りを待った。

 

やはり一人で待つとなると

寂しいし、不安だ。

 

静か過ぎて耳が痛い。

 

しばらくして、

 

三人が小走りで

帰ってきた。

 

N「やべぇ、やべぇ、やべぇ・・・」

 

「どうした!?

中で何かあったん?」

 

Nが中の状況を

話してくれた。

 

N「中、すっげー生活感あってさ、

 

クローゼットが開いてたり、

ボールペンが転がってたりしてて・・・。

 

ほんと、取るもの取って

出てった感じで、

 

怖いなぁなんて言いながら

部屋探索してたんやけど・・・

 

聞こえた・・・

いや、聞いた。

 

上の階から、

 

人が叩いたような

足踏みが。

 

初めは何か聞こえるな、

くらいだったのが、

 

ドーンドーンって、

 

力一杯に踏む音に

なってきて・・・」

 

その時、Kが、

 

K「うわあぁぁぁ!

何だよこれ!」

 

と叫ぶ。

 

両手が血だらけに

なっていた。

 

タオルで拭くと、

傷が全く無い。

 

痛くもないという。

 

とにかく気味が悪いと、

 

車に乗ろうとして

Tの背中を見ると、

 

白い手形が二つ

付いていた。

 

「なんだよ・・・

早く帰ろうぜ・・・」

 

車を走らせる。

 

少し落ち着いてきた頃に

Nが、

 

N「俺らが帰る時、寮の中に

白いモヤが見えた・・・」

 

俺も見てた。

 

木を倒す動きをしていた。

 

おじさんは三人とも

見てなかった。

 

あんな近くにいたのに・・・。

 

現在、その廃寮は

取り壊されている。

 

(終)

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