俯きながら立っている男の子

私の友人AとB、

 

そして二人の先輩が

体験した話です。

 

私の地元の近くに、

 

心霊スポットと言われる

小さなトンネルがあるそうです。

 

遊び半分で行って

後悔した二人は、

 

場所は言いませんでした。

 

以前、酔ったAとBは、

 

女の子を連れて

肝試しに行ったそうです。

 

トンネルの前には

電灯があり、

 

その真下に、

その子は居たそうです。

 

歳は十歳前後で、

白いシャツに短パン姿。

 

ただ、

 

下を向きながら電灯の下に

立っていたそうです。

 

しかし不思議なことに、

 

AとBにはハッキリと、

 

まるで生きているかのように

見えるのに、

 

女の子達には

そう見えなかったそうです。

 

後日、その話しを

先輩にしたところ、

 

酔ってテンションの

上がった先輩が、

 

「行こう!」

 

と言い出したそうです。

 

AとBは嫌々ながら、

先輩に従うしかなかったそうです。

 

車の後ろで

ビールを飲みながら、

 

呑気にテンションを上げた

先輩を連れて、

 

車はトンネルに着きました。

 

やはり、その子は立っていて、

先輩にも見えたそうです。

 

よせばいいのに、

 

遠目で見てるだけでは

飽き足らず、

 

先輩は千鳥足のまま、

その子に向かって行ったそうです。

 

先輩は、その子の前に立つと、

質問攻めにしたそうです。

 

「お前、名前は?」

「年いくつだよ?」

「どっから来た?」

「なんでここにいるんだよ?」

「家族は?」

 

AとBは

シラフだったので、

 

ビビりながら遠目に

見ていたそうです。

 

何の反応も示さない

男の子に、

 

先輩の口調は

段々と荒くなり、

 

「親はどこだよ?」

「兄弟は?」

「母ちゃんは?」

「親父は?」

 

その瞬間、

 

男の子は先輩を

見上げたそうです。

 

離れて見ていた

AとBにも、

 

男の子が顔を上げたのが

分かったそうです。

 

先輩が「うわーっ」と叫び、

車の方に逃げて来たそうです。

 

良く分からないけど、

AとBも車に逃げたそうです。

 

早く出せと先輩に促され

車を走らせて、

 

しばらくしてAは

先輩に聞きました。

 

「先輩・・・、何を見ました?」

 

すると、先輩は小さな声で

言ったそうです。

 

「あいつ、目玉が無かったし、

真っ赤な口で笑ってた・・・」

 

とりあえず、ビビりながらも

近くのコンビニに着いたそうです。

 

コンビニで飲み物を買い、

車に乗ろうとした時、

 

その子は現れたそうです。

 

ただ、先程と違っていたのは、

 

しっかりと顔を上げ、

ハイハイをしながら、

 

車の周りを廻っていたそうです。

 

半泣きになりながらも

慌てて車に乗り込み、

 

逃げるように車を

走らせたそうです。

 

三人とも無言のままで居ると、

 

運転をしていたAが

気づきました。

 

「まだ付いて来る・・・」

 

車のスピードと同じくらいの速さで

ハイハイのまま・・・。

 

どこまで付いて来るんだよ・・・。

 

そう思っていたら、

居なくなってしまいました。

 

ホッとして、

それぞれ家に帰ったそうです。

 

しかし、残念ながら

付いて来てました・・・。

 

先輩に・・・。

 

先輩は今でも

夜道を一人で歩くと、

 

ハイハイをしてる男の子に

付いて来られるそうです。

 

(終)

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