林業を営む家系での変わった風習

山

 

俺の祖父の実家で、

変わった風習があった。

 

祖父の実家では、

昔から林業をやっていた。

 

山も幾つか持っていて、

 

そのうち一つの山に

子供が一人生まれると、

 

一本の木を植えるという

風習があった。

 

山と共に生きるとか、

山の神様に感謝をとか、

 

山の事故から守ってもらう

という意味があったらしい。

 

高度経済成長期に、

 

その山の住宅地に面した

部分を分譲して欲しい、

 

という話が持ち上がった。

 

祖父はすぐに反対したけど、

祖父の兄が、

 

「林業じゃ、これからろくに

飯も食えん。

 

向こうからも悪くない額を

提示してもらってる」

 

結局、

 

その山の半分を分譲したら、

周りの家からは非難の嵐だった。

 

その状況に居づらかったのか、

まとまったお金が入ってきたのか、

 

兄はそのまま自分の子供のいる

都会へ出て行った。

 

それからしばらくして、

兄の訃報が来た。

 

祖父は「まぁ歳だから仕方ないか」

と思ってたらしい。

 

でも、

 

次の月から兄の一家から

次々と訃報が・・・。

 

山を売ってから半年もしないうちに、

兄の一家は途絶えてしまった。

 

ここまでは祖父から聞いた話。

 

その祖父も先日亡くなり、

 

最近、残りの半分を

分譲して欲しい、

 

という話が持ち上がってる。

 

祖父とその兄がやったことを、

 

現在進行形で俺の親父と伯父が

全く同じ構図でやってるから

 

本当に笑えない・・・。

 

(終)

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