霊媒師が押入れから見つけたもの
俺は大学3年なのだが、今一人暮らししているアパートの部屋がガチでヤバイ。
いや、「ヤバかった」というのが正しいか。
ちなみに、そのアパートの3階に俺は住んでいる。
事が起きたのは、去年の夏頃だった。
大学から帰って来ると、大家さんから俺宛に手紙が届いていた。
内容はこうだ。
『昼の12時くらいになると、時々風呂場から道路に水が垂れているから窓を閉めてほしい』
『子供が騒いでいるような声が聞こえるので静かにしてほしい』
昼間はもちろん俺は大学に居るし、子供なんて知らないし居るわけがない。
隣の部屋の人に聞いてみると、「子供が居るのは知ってはいたが元気が良いのはいいことですから」と言う。
正直、何が何だか分からなかった。
俺は管理会社に電話をかけることにした。
案の定、「昔ちょっと・・・」と答えづらそうだった。
どうやら過去に、この部屋で二人の子供が親から虐待されていて、うち一人が亡くなったらしい。
その後に何度か部屋を調査したが、何とも無かったと言う。
実際に起きているんですけど・・・と言うと、「霊媒師を紹介します」と。
そして5日後、霊媒師と管理会社の人と俺で部屋を見て回った。
霊媒師いわく、「何ともない」と。
ただ、「押し入れが悲しい・・・」みたいなこと言い出して、中を覗き始めた。
中は何ともなかったが、上の板を外したら“二足の靴”が並べて置いてあり、汚い字で『みつかっちゃった』と書かれていた。
霊媒師は、「除霊ではなくて清めるだけ」と言っては、水を撒いたり線香を焚いたりしていた。
そして、「靴はそのままにして置けないから、一週間だけ玄関に置いておいて下さい」と言われた。
その一週間は大学から帰って来ると、ドングリが置いてあったり、変な音がしたりしたが、霊媒師が靴を持って行ってからは無くなった。
それからは特に何も起きていない。
謝罪として管理会社から結構なお金を貰ったが、愛着もあるので今もそのアパートに住んでいる。
あなたの部屋の押入れにも、もしかすると何かあるのかも知れない。
(終)
霊媒師よこしてくれるのはありがたいけど、なんで大家さんが把握してないの…?