死んでしまった友人の話をしていた時に
俺は今30歳で、生まれも育ちも東京だ。
その日の夜、中学時代の地元の友人と10年ぶりくらいに電話で話していた。
話が同窓生のことになり、そのうち自殺した友人の島谷(仮名)の話題になった。
島谷はすでに結婚していたのだが、生活苦から家族を捨てて自殺したという。
そんなことをするような奴ではなかったので、驚きながら話を聞いていた。
時間は21時頃。
その時、「ピーンポーン」と玄関のチャイムが鳴った。
俺はドキッ!としつつ通話を中断し、インターホンに出る。
すると、「●●営業所から来た島谷と申します。新聞は取っていらっしゃいますか?」と話しかけてきた。
さっきまで死んだ島谷の話をしていた矢先、『島谷』という名前に一瞬ビクッとなったが、偶然だろうと気を取り直して勧誘は断った。
・・・だが、よく考えてみると、そんな遅い時間に勧誘が来たのは初めてでもあり、勧誘で名乗られたのも初めてだった。
(終)
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