丑の刻参りがあるという神社へ肝試しに
これは知り合いの話になる。
『丑の刻参り』があるという神社へ、友達3人で肝試しに行った。
山奥にあるその社の境内へ車を乗り入れたところ、まるで釘を打っているかのような「コーン、コーン」という音が本当に聞こえてきた。
なんで俺だけ・・・
恐る恐る音のする方を見てみると、ぼんやりとした灯りが暗い林の中で揺れている。
「どうする?近くに寄ってみるか?」
「やめとこうよ。これ洒落じゃ済まないよ!?」
そんな押し問答をしていると、コーンという音がピタリと止んだ。
その瞬間、みんな慌てて車に乗り込むと、その場から逃げ出したのだという。
その数日後、知り合いの彼は激しい痛みに襲われた。
下腹部が猛烈に痛み、酷い血便が出て歩くことすらままならない。
病院へ担ぎ込まれ診察を受けると、仰天するようなことを言われた。
「大腸の途中に何か細長い尖った物が入っている」と。
すぐに手術を受けたのだが、取り出された物はまだ真新しい釘だった。
全部で3本出てきたという。
「どこでこんな物を飲み込んだの?」と医者に問われたが、彼にそんな覚えはない。
ただ、理由は無いが、「あの時の丑の刻参りの釘だ・・・」と感じたのだという。
話を聞いて見舞いに来た2人の友人も、青い顔をして同意したそうだ。
「あの類いって、人に見られたらいけないんだっけか?でも3人も居たっていうのに何で俺だけ呪われたんだろうなぁ」
冴えない顔で彼はそうボヤいていた。
(終)