呪いの部屋 2/2

そこそこ新しく、立地も良く広々として、

立派な部屋だったのでFが誉めると、

 

何とB宅は、

札付きの欠陥物件だったらしく、

 

結構な頻度で住人が変わるせいで、

大して古くもないのにB一家は

十何番目かの住人だそうでした。

 

中で事故や自殺が複数あり、

他にも不幸があって出て行った

住人がいたりして、

 

評判の部屋になってしまっていたため、

家賃は破格の安値だったとか。

 

B「不動産屋さんも案内してくれたけど、

あんまり勧めて来なかったしね~。

 

近所の人も知ってて、

『本当に大丈夫?あのね、何かあったら

無理に我慢しないで引越した方がいいよ。

こんな話して悪いんだけど、その部屋、

色んなことがありすぎるから・・・気をつけてね』

って心配されちゃったよ。

 

でも、この人(B夫)そういうの全然気にしないし、

私はむしろ幽霊いるなら見てみたいし~」

 

のほほんと笑いながらBは言ったそうでした。

 

B「でも結局、そういうのって話ばっかだよね。

うち、もう半年住んでるけど、全然なにもないよ。

 

近所でも事故とか結構あるし、

踏み切りではねられちゃった子供もいたし、

気をつけなきゃ危ないのは同じなんだよね。

 

偶然この部屋の人に集中したから、

呪いの部屋にされちゃったんだろうね」

 

Fは「・・・そうだよね」と頷いたそうですが、

Aは顔が引きつるのを堪えるのがやっとだった、

と言っていました。

 

A曰く、おそらくその部屋は、

本物の『呪いの部屋』だったんだ

と言う事でした。

 

何かのきっかけで、

悪いものの溜まり場になってしまう場所

というのがあるんだそうです。

 

霊的な位置関係とか、

近くに沼や海があるとか、

 

その方向とか色々なことのせいで、

悪いものを吸い寄せて溜め込んでしまう

ポイントが出来てしまうことがある、と。

 

A「それが建物の中で気密性の高い

部屋だったりすると、余計に溜まったものが

出てかなくなるの。

 

そこに悪いものが溜まるから

他の場所が綺麗でいられる、

ってこともあるから。

 

そこにBが住み始めたんだよね、

いきなり・・・

 

それはつまり。

Aの表現したところでは、

 

A「町中のゴキブリとか、ムカデとか、

スズメバチとかを、全部集め続けてきた

害虫で一杯の小屋の真ん中で、不意に

特大のバルサンを焚きまくったようなもの」

 

だそうでした。

 

そしてAは、

こうも言っていました。

 

A「Bのことが嫌いなんじゃないけど、

二度とBの家にもあの辺りにも行かないと思う。

 

・・・もっと散らばったりして

落ち着いた状態になるまで、

何年もかかりそうな様子だった」

 

Aの言では、

B夫とBの子供は大丈夫だろう

ということでした。

 

一緒に暮らしている限り、

Bの「何か」の気配が色濃く染み付き続けるから、

 

大概のものは避けていくし、

そもそも霊的なものに

害を受け難い性質だから、と。

 

現に、帰りにB夫が外出のついでに

駅まで送ってくれた時には、

道にたむろしてる悪いものは、

むしろ避けていたそうで。

 

問題は、

おそらく付近に住んでいる人だろう、と・・・

 

何か、後味の悪い話になってしまいました。

 

ここまで読んでくれた人、

どうも後味悪くてすまん。

 

俺も何かスッキリしなくて、

吐き出したかったんだ。

 

多分、Aもそうだと思う。

 

Aは「みえるひと」だけど、だからって

漫画に出てくるスーパー霊能者みたいなことは

出来ないんだと言ってました。

 

絶対に勝てない、

何も出来ないと分かってるものには

関わらないようにしてる、

 

いちいち手を出してたら、

今まで生き延びてないと漏らしたのを 

聞いた記憶があります。

 

ただ、何も見えないのに

危険は自動的に防がれるBは

羨ましくないかと、

 

重ねて尋ねた時には、

重そうにハッキリと首を横に振ってました。

 

A「絶対に、思わない。

あんなモノに身体の中に住み憑かれて

自分で気づいてないなんて死んでも嫌。

 

上手く説明できないけど、

結果として助けてもらったことがあっても、

アレは感覚が受け付けない」

 

とのことです。

 

普通の霊と何が違うのか、

との質問に対する答えは、

 

「情念がない」でした。

 

A「違和感については説明し難いけど、

解りやすく言うとね。

 

霊ってある意味で心が剥き出しで

存在してるようなものだから、

人でも動物でも、必ず何か色っていうか

想いが見えるんだよ。

 

『生きたい』とか『苦しい』とか、

シンプルなのでも。

 

その情念に基づいて、こっちの世界で

祟ったり守ったりするんだから。

 

でもBのアレは、それが見えない。

 

何か意思があって

能動的に動いてるのは解るんだけど、

その源になる想いが一貫して全く無い。

 

Bの中から出てくる時も、

Bの中に戻っていく時も、

 

井戸から出て来たモノとぶつかってた時でさえ、

全くなかった。

 

霊的なものとしては、

絶対にありえないことなんだよ」

 

・・・本当に何なんだろうか?

 

(終)

シリーズ続編→原発並みへ

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One Response to “呪いの部屋 2/2”

  1. あおば より:

    バルサンwwwwwwwww

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