ピアノを弾いている私を見守っていた祖父
これは、私の唯一の心霊体験でもあり、嬉しい話。
私は幼稚園の頃からピアノを弾いていて、祖父の家に行くと必ず祖父のピアノを弾いていた。
生前の祖父は、ピアノを弾いている私をそっと部屋に入って後ろから眺めていた。
私が小学3年生の頃に祖父は他界した。
他界した後も、祖父の家へ行く度にピアノを弾いている。
私には霊感なんてものはないが、その度にそっと部屋に祖父が入ってくる気配を感じる。
でもそんなことを話してもバカにされるだけなので、自分だけの楽しみで親戚の誰にも話していない。
月日が流れて、3歳の姪っ子とピアノの部屋でピアノを弾いていた時のこと。
私は、「あっ、またお爺ちゃんが入ってきたな」と気配を感じながら、姪っ子にピアノを教えていた。
そしてしばらくすると、いつものように祖父の気配が消えた。
気配が消えてから姪っ子がふと、「知らないお爺ちゃんいたね」と言ったのには驚いた。
子供はよく『見えないものが見える』と言うが、本当に見えていたのだろうか?
それともただの偶然で、私が思っていたことと同じことを言っただけなのか?
でも、姪っ子の一言は嬉しかった。
(終)