悩みに悩んで出した男らしい答え

家

 

これは、今から十数年前に友人から聞いた話。

 

友人が祖父母の家に泊まりに行った時、その日は両親と一緒に行ったにもかかわらず、一人だけ別の部屋に宿泊することに。

 

その部屋は庭に面した部屋で、蚊帳を吊るして眠ると良い風が入りそうだなと思ったんだそう。

 

眠くなり、そろそろ就寝しようと蚊帳の中に布団を敷いて横になってしばらくすると、どこからか人の声というより大勢の人の喋り声がする。

 

両親や祖父母の部屋とは離れているし、何より聞いたことのない人物の声だと思ったので不思議に思い、なんとなく障子を開けっ放しにしていた。

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虫刺されは翌日に残るが・・・

庭の方を見ると、教科書に載っているような戦時中の日本兵の格好をした団体がいた。

 

上官と思われる一人の兵士に対し、大勢の兵士が並んでいる。

 

「○○兵士、行って参ります」

 

上官にそう言って敬礼をし、次々に去っていく日本兵。

 

それを見た友人は何故か、もしかして特攻前の挨拶をしているのかな?と思ったんだそうな。

 

ちなみにその友人はかなり視力が悪く、本来なら蚊帳を下ろしていれば服装や性別なんぞ区別が付かない程なのに、日本兵ははっきり見えたのだそう。

 

その光景が延々と続いて、怖いというよりはうるさくて眠れない事にイライラし、布団から出て蚊帳を上げたら日本兵が消えた。

 

安心して蚊帳を下ろし、これで眠れると布団に戻ろうとすると、蚊帳越しにまた日本兵が見えるし、声も聞こえる。

 

えぇ!?どういうことなの?と、再び蚊帳を上げると日本兵が消える。

 

そして蚊帳を下げると日本兵が見える。

 

蚊帳を上げれば見えないが虫に刺されるし、下げればうるさくて眠れない。

 

悩みに悩んだ友人は、蚊帳を下ろしてそのまま就寝した。

 

声は無視することに。

 

そして翌日の起床まで何もなかったという。

 

そんな話を聞いた私は、どうして蚊帳を下げるのを選んだのか友人に尋ねてみたら、「虫刺されは翌日に残るが、幽霊は朝になれば消えるから」だそうだ。

 

実に男らしい女友達だ。

 

(終)

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